「変化への責任の所在」 

責任の所在が明確でなく、変化に鈍感な「リスクマネジメント」は失敗する。この「あたりまえ」と思われることが、意外に認識されていない。

第一の理由。担当者にリスクマネジメントが丸投げされている。

まず、なにが緊急時なのか?どのような状態で緊急時に入り、どのような状態で緊急時から脱するのか?これは、トップマネジメントの専決事項だ。たとえば、火災といっても常に火を扱っているような場合(アセチレンガスやプロパンガスで鉄などを切断するような作業)、周囲のものに火がついたからといって、直ちに緊急時とはいえない。
出火によるリスクが事前に意識されていれば、消火バケツを近くに常備することで、消火作業は一人でも可能だ。非通常時になってもすぐ、通常時の状態にもどすことは現場判断でできる。一方、「○○システム担当者」というのは、一人歩きしてしまうと実は厄介な存在で、現場責任でもトップマネジメントでもなく、リスク評価の数字いじりはできても、現場や経営の知恵と責任が欠如している場合が多い。

第二の理由。日常の業務にリスクマネジメントがビルトインされていない。

従来やっていた「KY=危険予知活動」の有効性を見直すことをせずに、「リスクマネジメント」という流行を追っても、効果は期待できない。最近流行りの「CSR(企業の社会的責任)」も、企業理念(本来の「環境方針」や「品質方針」)や、既存の三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)の要素を見直し、深めることをせずには決して定着しないのと同じだ。

第三の理由。変化への対応ができていない。

「リスク」は、固定的なものではない。まず、企業の業務プロセスは常に改善され、プロセスそのものの枠組みが変わる場合もあり、時には業種さえ変わる。また、経済社会の変化。たとえば資源価格は日常的に激変する。市場の変化、顧客要求の変化、法や条例規制の変化など、日々新たなリスクが生まれる。経営環境の変化の先取りと対応が役割のトップマネジメントと、市場の変化に対面し体で実感している「現場マネジメント」が日常的に関与していない「リスクマネジメント」は無力である。

リスクマネジメントとは、動態で責任の所在を明らかにし続けることである。